多くの日本家庭では伝統的に、着物の収納には桐タンスを活用してきました。 私も賃貸マンションへの引っ越しを機に、スペースの問題で桐タンスを断念せざるを得ませんでした。
大切な着物の保管場所に悩む方は少なくありません。
この記事では、限られた住空間でも実践できる着物の収納方法についてご紹介いたします
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この記事を読めばわかること
手軽に始められる着物の収納テクニックをがわかる!
着物を保管するときの4つのポイント

着物を保管するうえで、押さえておくべきポイントがあるので、まずはそこからご紹介していきます。
1.直射日光を避け、乾燥した環境での保管
2.専用のたとう紙による包装
3.ウール素材の着物は分けて保管
4.防虫剤は1種類に統一
1.直射日光を避け、乾燥した環境での保管

着物の保管で最も大切なのは、保管場所の決め方です。
着物は繊細な素材でできているため、光や湿気による損傷を受けやすい特徴があります。
特にマンションは、戸建てやアパートと比較して気密性が高く設計されています。
部屋の構造上、湿気がこもりやすい傾向にあるため、保管場所を決めることと共に、適切な湿度管理が不可欠となります。
2.専用のたとう紙による包装

たとう紙には以下のような特徴があります。
・着物専用に作られた伝統的な包装紙
・優れた吸湿効果で着物を湿気から守る
たとう紙は着物の湿気を効果的に取り除くだけでなく、複数の着物を重ねて収納する際の保護材としても働きます。
着物同士の接触による摩擦や傷みを防ぐため、長期保管には欠かせない包装材となります。
3.ウール素材の着物は分けて保管

害虫が特に引き寄せられるのは「ウール素材の着物」です。
正絹の着物は本来、虫の被害を受けにくい素材です。ただし、ウール製品と同じ場所に保管すると、正絹の着物まで虫食いの被害に遭う可能性が高まります。
着物の保管場所に、ウール素材のマフラーやニット製品を一緒に入れることは避けましょう。素材別に収納場所を分けることで、大切な着物を虫害から守ることができます。
4.防虫剤は1種類に統一

異なる種類の防虫剤を併用すると、化学反応により有害なガスが発生する可能性があります。
そのガスは着物の生地を劣化させ、色合いを変化させる危険性をもたらします。
防虫対策は一つの種類の防虫剤で十分な効果を発揮できます。複数の防虫剤の使用は逆効果となるため、信頼できる防虫剤を一種類だけ選んで活用しましょう。
手軽で確実な着物の保管方法
私が引っ越し時に持参した着物は2枚でした。実際に私が行っている保管方法と、呉服店の方から教わった着物が増えた時の保管方法をお伝えします。
使ってみて便利だった きものキーパー
きものキーパーという着物専用の保存バッグをご存知ですか?たとう紙で包んだ着物を入れて、ファスナーを閉めるだけの簡単な仕組みです。
特殊な三層フィルムと高性能なファスナーで酸素と水分を防ぐため、以下のような効果があります。
○実際に使ってよかった点
・1年使用していますが、カビや虫食いの心配なし
・虫干しの手間が省けて、とてもラクチン
△少し気になったところ
・横幅が97㎝あり、置き場所に悩む
・着物が増えると費用がかかる
最初は保管場所で迷いましたが、ベッドの下でも収納できると知り、現在はベッド下で大切に保管しています。
呉服店スタッフ推薦の着物収納法のご紹介
着物が徐々に増えてきた方向けに、呉服店の専門スタッフから教わった効果的な保管方法をお伝えします。
専門家推奨➀着物収納ケースの活用法
収納ケースの大きな利点は、押し入れやクローゼットへの設置のしやすさです。ベッド下収納では出し入れに手間がかかるため、私も収納ケースへの切り替えを検討しています。
収納ケース選びでは、以下の2点が重要となります。
① 十分な収納スペースの確保
② 素材の特性を理解する
ポイント①適切な収納サイズの選び方
着物の折りたたみ寸法の目安▼
折り方 | タテ | ヨコ |
2つ折り | 35~40㎝ | 80~85㎝ |
3つ折り | 35~40㎝ | 60~65㎝ |
着物のシワ防止には、折りたたみ寸法よりも余裕のあるサイズ選びが重要です。
ポイント②収納ケースの素材別特徴
特徴 | 桐 | プラスチック | 布 |
価格 | 高価 | 安い | 安い |
重さ | 重い | やや軽量 | 軽量 |
通気性 | 優れている | 悪い | やや悪い |
素材選びのポイント▼
- 通気性重視:桐製がおすすめ
- コスパ重視:プラスチック製または布製
プラスチックや布素材の場合は、湿気対策として除湿シートの使用が必要です。私の場合、軽量で経済的な布製ケースの導入を考えています。
専門家推奨②桐チェスト
桐チェストは着物の出し入れが頻繁な方や、使いやすさを重視する方に最適な収納具です。
着物保管に桐が重宝される理由
桐材は伝統的な着物の保管材料として長年愛用されてきました。
桐の優れた特徴▼
これらの特徴により、桐は長期保管が必要な着物の収納に理想的な素材となっています。
現代の桐チェストには、キャスター付きタイプも登場しており、限られたスペースでも効率的な収納が可能です。
押し入れやクローゼットへの設置にも対応できるため、収納場所に悩む方への解決策となります。
着物保管前のクリーニングは必須

着物を長期保管する前には、専門店でのクリーニングが欠かせません。一見きれいに見える着物でも、着用時の汗や皮脂が繊維に残っている可能性があります。
これらの目に見えない汚れを放置したまま保管すると、時間の経過とともにシミやカビの発生原因となります。
大切な着物を美しく保つために、クリーニングは保管の準備段階として重要な役割を果たします。
詳しくはこちら▼
着物の保管方法|まとめ
限られた住空間でも実践できる着物の保管方法と、失敗を防ぐための収納のコツをご紹介してまいりました。
それぞれのご家庭の環境や、ライフスタイルによって最適な保管方法は異なります。この記事でご紹介した方法の中から、皆様の状況に合った収納方法を見つけていただければ幸いです。